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保険外交員として働き、近く提訴する男性。「払うべきものは払ってほしい」=2019年9月24日、大阪市、遠藤隆史撮影/朝日新聞



朝日新聞 7日 10月の給与は「マイナス8476円」 憤る保険外交員
 保険代理店の外交員らが給与から経費を違法に天引きされたとして、代理店側を提訴するケースが相次いでいる。大阪では集団提訴に向けた動きも。トラブルの背景には、業務委託契約から雇用契約に変化した外交員との労働関係に、一部の代理店側が対応できていない実態がある。

 「天引きで最低賃金を下回ることもあった」。東京に本社がある代理店経営会社の大阪支社に2015~19年に勤めた40~50代の男女5人は近く、同社に天引き分など計約900万円の支払いを求める訴えを大阪地裁に起こす。

 代理人弁護士によると、5人は同社と雇用契約を結んでいたが、名刺代や保険商品を比較するサービスの使用料(月3500円)を給与から引かれていた。うち2人は同社のスタッフが増えたことを理由に、「事務手数料」名目で月3万円を引き去られたこともあったという。

 5人は、これらは雇用主の代理店側が負担すべき経費だと指摘。違法な完全歩合制で最低賃金(17年6月当時、大阪府で時給883円)を割り込んだこともあった4人は、実際の支給額と最低賃金との差額の支払いも求める。会社側は「個別の案件についてのコメントは差し控える」とした。

 代理店ではなく、生保会社を被告とした訴訟も京都地裁では今月1日、住友生命京都支社(京都市)に勤める外交員の50代女性が同社に約210万円の支払いを求めて提訴した。女性は12~18年、顧客に保険商品を説明する携帯端末の使用料(月2950円)のほか、顧客に無料で配る会社のロゴ入りチョコレートやあめ、カレンダーなどの代金を給与から天引きされたという。

 女性は会見で「物品を50部や100部単位で購入すると給与が最低賃金額より低くなる場合もある。納得できない控除が広がらないよう訴訟に踏み切った」と訴えた。同社は「現在係争中につき、回答できない。当社の適法性については訴訟の場で明らかにしていきたい」とコメントした。

 二つの訴訟の代理人弁護士も参加する「保険外交員搾取被害弁護団」(事務局・東京、03・3580・5311)によると、札幌や東京、広島などでも代理店側に損害賠償を求める訴えが起こされている。(遠藤隆史、向井光真)


働いたら会社に「借金」が

 「マイナス8476円」

 大阪の訴訟で原告になる男性(54)が2017年10月分として会社から受け取った給与通知は、支給額がマイナスとされていた。

 勤務していた17年6月~18年9月は、顧客を探すため早朝から異業種交流会で名刺を配り、セミナー開催や顧客への資料作成で夜中まで働くことも。給与は完全歩合制で、17年10月分は売り上げが少なく、社会保険や経費などが引かれてマイナスになった。マイナス分は会社への「借金」とされた。

 妻と共働きだったが生活費に困り、休日に塾講師などの副業で10万円ほどを稼いでしのいだという。男性は「契約を取れなければ収入がない完全歩合制が普通だと思っていた。雇われていたのに経費を引かれ、最低賃金すら払われないのはおかしい」と憤る。

 金融庁によると、保険販売の分野では、以前は外交員が代理店側と業務委託契約を結び、契約獲得数などに応じ報酬が支払われる完全歩合制の働き方が少なくなかった。同庁は14年1月、こうした業務委託の禁止を通知。代理店は外交員と雇用契約を結ぶことが求められるようになった。

 弁護団の清水亮宏弁護士は、外交員は自分の働きに応じて収入が変わる個人事業主としての意識が強く、経費の負担や完全歩合制に疑問を持たなかったのではないかと指摘。「代理店側にも古い体質が残っている。業界全体の意識改革が必要だ」と話した。
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 〈雇用契約と業務委託契約〉 労働者が労働力を提供し、使用者(会社側)が給与を支払うことを約束するのが雇用契約で、労働者には労働基準法や最低賃金法が適用される。一方、業務委託契約では仕事内容や報酬などを当事者の合意で定める。この場合、完全歩合制の報酬支払いが可能で、経費をどちらが負担するかは契約で個別に定められることが多い。

朝日新聞はどうしてその代理店の名前を出さないのでしょう?
業務委託契約から雇用契約の切り替えに対応できない代理店って、本当にそんなことがあるのでしょうか?
何が本当かわからないうちから、どうしてメディアがこんな解釈をするのでしょう?
まるで擁護するみたいに。

しかし、住友生命も訴えられてるんだね。
最近では有名企業ほどブラックみたい。世も末だ。

保険外交員も厳しいとは聞いていたけど、真面目に働いていて給与が「借金」になるとは?
こんなに消費が冷え込んだら、保険だって売れなくなる。
何でもかんでも「自己責任」にされたら、たまったもんじゃない。

働き方改悪で多くの反対を押し切って導入された「高プロ」も、労使間の交渉で賃金形態が決まる。
この外交員と似たようなことになる可能性大かもね。